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1996AUTUMN
サザコーヒー契約のガテマラ・マリオリカルド農園にて
マリオさんが作る最上級のコーヒーは、幻の
サザコーヒーが、マリオ・リカルド農園と契約して四年目を迎えた。
農園主のマリオ・リカルドさんは、世界中でおそらくグァテマラだけに
生きずくであろう"ブルボン種"の栽培にとりくみ、たっぷりと手間ひま
かけてサンドライする。おいしいコーヒー生豆が、いかにして生まれる
かを、現地で語り合った。

伊藤忠ガァテマラ駐在員 農園主 サザコーヒ
ー
小原 茂さん マリオ・リカルドさん 鈴木 誉志男
鈴木 今日は、家内共々食事にお招き頂きありがとうございます。
オレンジジュース、サヤインゲン、グリーンアスパラ、パイン、
総てが農園で作られた野菜と家庭料理を美味しく頂戴しました。
マリオ そうですか、嬉しいです。私の農園では、コーヒー豆が主ですが
牛を飼ったり、バラを作ったり、野菜も少し作っています。今年も
鈴木さんが喜ぶような良いコーヒーが採れています。安心して下さい
。
小原 この農園のあるガァテマラのアンティグアは、標高二千メートルの
高地にある山岳都市で、いつも花が咲いている常春の国です。いかに
住み良い地かお解り頂けると思います。

豊かに水をたたえるアテトラン湖
鈴木 ガァテマラのアンティグアは、世界のコーヒー辞典や解説書では
コーヒーの最高級品の採れる地区として有名ですが、日本では知られ
れていませんね(笑)残念ですが。
小原 コーヒーの美味しい種類にブルボン種が有ります。飲んで最高ですが、
困ったことに生産性が悪く、コーヒーの樹木は葉の病気弱く量が採れ
ない。
つまり歩留まりが悪いのですよ。ブルボン種は世界中から姿を消し始
めました。
でもグァテマラの奥地アンティグア地域にはまだの残っております。
鈴木 私は、珈琲屋になった頃、先輩からブルボン種が美味であることを教
え
られ、飲んでみると甘味があって、それからもう夢中になりました。
マリオ 私のコーヒー農園は、百年の歴史をもつ農園で、この地区で最も古い
と
言われています。
小原 メキシコからパナマまでを中南米と呼ばれますが、この地区の中で
アンティグアのコーヒーは、プレミアム価格が最高級品としてついて
他の国には無い事です。それほど良い豆が採れるのです。
鈴木 その美味のコーヒーの秘密を教えて下さい。
マリオ まず最初に、この風土というかアンティグアの地理が良いのでしょう
か
コーヒーは、強い光を嫌います。そのため山の北側を使います。
アンブレラ(傘)の木を植え、その影を利用してコーヒーを育てま
す。
私の農園では牛を飼っていて、その糞を使用して作ります。
私の父から「コーヒーを作る前に良い土を作れ」といつも言われまし
た。
良い土地を作ると自然に良いコーヒーが出来るのです。牛糞を発酵さ
せ
草木の葉と合わせて堆肥をを作ります。
小原 いわゆる有機農法ですね。よく土地が肥えていますね・・・・コーヒーの
木には、コーヒーの実の中に入って食べてしうブロッカと呼ばれる害
虫が
いるのですが、これは低地にいて、寒い高地にはいないのです。この
地は
標高二千メートルを超えています。ガァテマラの主なコーヒー産地は
八百
メートルから千五百メートルの低地です。ですからこの地区は農薬が
いら
ない。つまり、無農薬なのです。
鈴木 私はね、世界中のコーヒーの真っ赤なチェリーを見てきましたが、こ
の農園
の実は食べて甘いのです。完熟して果肉が厚いのです。例を見ません
。他の
国の完熟豆は堅いです。多分、土壌が豊かだから、丸々とした豆が出
来るの
でしょうね。
小原 このマリオさんはコーヒー作りに熱心で、いつも農園にいて指示をし
ています。
ガァテマラの農園主の多数は、首都のガァテマラにいて農園に来ない
人がいる
のですが、マリオさんは仕事を良くします。
鈴木 農園で働いている人はインディオで、私たちと同じモンゴロイドです
ね。人口
の七割がインディオで一割がスペイン系白人、残りは混血と聞きまし
た。イン
ディオの人々は、静かでよく働きますね。
マリオ とても熱心で、真面目に仕事をします。私の父は、コーヒーの収穫時
にいつも
こう言いました。
「大きな真っ赤なチェリーだけ集めなさい」と。そして、インディオが持って
きた時に、コインを渡すのですが、もし青い実が入っていても賃金を
支払い、
同じように言葉をかけ続け、時間をかけて赤いチェリーのコーヒーを
集める
ことが出来るようになりました。
小原 農園主とインディオの信頼関係がなければ良いコーヒーが出来ないと
いう事で
すね。青いチェリーでもコーヒーには違いありませんが、たくさん採
れば良い
というものではありません・・・・・という事です。
鈴木 良い商品を作るには手間と時間がかかるものなのですね。「良いコー
ヒーには、
そこの主人の顔が見える」という定説がありますが、マリオさんのお
父さんに
は、良質のコーヒーを作ろうという執念が感じとれますね。
マリオ もう一つ私の農園の特長は、コーヒー豆のサンドライ(自然乾燥)で
す。アン
ティグアは、豆の収穫期には晴天が続くので、じっくり太陽光線を当
て、
天日乾燥させます。たっぷりと手間ひまかけて・・・。
朝9時より午後3時まで一日五回豆を移動する
小原 日本の米に似ていますね。田圃で干すお米は甘味があり、風味が違い
ます。
しかし、機械で乾燥させれば早く出来て人件費もかかりませんし、早
く
お金に換金出来ます。生産性がいいという事になります。
鈴木 私は、生産性と味覚とはいつも反比例すると思っています。手間と時
間を
かけた料理は美味だと私は信じていますし、良い食材から美味しい料
理が
出来ると思っております。私のコーヒー人生の中で、安くて良質のコ
ーヒー
は百年待っても出てこないと確信しています。
マリオさんのコーヒー豆が、ガァテマラでで一番高い豆である事は承
知して
ます。私はそれを自慢して売っております。これからも永くブルボン
種で
サンドライ、そして有機農法を続けて下さい。
本日はありがとうございました。