慣性力偏差の詳細

ここでは、もしこのシステムを作った場合、どのくらいの推力が出るかみてみましょう。


まず、おさらいと言うことでこれから議論するシステムの形状を明示しておきます。

点Qにおける加速度は以下の式になります。{時間成分、x成分、y成分、z成分}

図中推力が下向きなのは、を+にとったためです。

ところで、上の式はまだ質量を掛けていない加速度の式なので、

問題のz成分は「遠心力」ではなく「向心加速度」です。

ただし、です。

は相対論効果を示し、光速 c を無限大と見なすと=1となりニュートン力学と一致します。


下記条件でいろいろプロットしてみます。

光速c=299792458 m/s

ジャイロ半径 r=1 m

R=1 m

=100,000 rad/sec (15,915 Hz)

=100,000 rad/sec (15,915 Hz)
または=-100,000 rad/secにすれば図中推力は上を向きます。)

まず、点Qにおける時間の遅れ具合の分布をみるためにをプロットしてみましょう。

=1.00000000 の時、時間遅れが無いことになります。

この時間遅れの波が慣性力偏差を引き起こします。


次に、ニュートン力学なら消えて無くなるはずの

ジャイロの向心加速度、「問題のz成分」がどのように残留するかみてみましょう。

そこで今度は以下の式をプロットしてみます。

この式は点Q上の向心加速度の加速度と180度反対側の点における加速度の和で、

この式に質量を掛けて符号を反転させると推力になります。

ざっと最大450G程度の残留向心加速度が存在することがわかります。

この図の赤く塗った領域の面積にジャイロの線密度と半径rを掛ければ推力が算出できます。

たとえば、このジャイロがリング状で、線密度10Kg/m(リングの合計質量が約63Kg)の場合、

今の条件で作動させれば、

約70,000[N](7,000Kgf)の推力が得られることになります。


・・・とここまで書くとものすごい推進システムのようであるのだけど、

本当にものすごい機械が必要です。

この条件下ではジャイロの先端には、

30億G

の加重がかかっています!

30億Gの世界は、髪の毛一本の重さが100Kgfになる世界です。

実現のためにはこれに耐える素材が必要です。

また、16,000Hz(960,000rpm)に耐えられるベアリングもこの世に存在しません。

今のベアリングは2000Hzが限界だそうです。

・・・ ひ孫の時代に期待しましょう!