作業物質は重力波か?
1.結論
ここで展開する議論は、教科書でおなじみの手法です。
この論法によれば、この装置から放出される重力波はあまりにも小さすぎて
慣性力偏差を説明する作業物質にはなり得ません。
だからといって、あきらめる訳ではないです。
2.計算結果
アインシュタイン方程式はまともに取り組める代物ではないので、
たいてい1次近似を用います。ここでもそうします。
さらに装置を質点4個まで簡略化して放出される重力波の
だいたいのオーダーを知ることを目指します。
装置の各パラメータは下記の通りです。
は各質点の静止質量、あとはわかりますよね。
そして、
及び
の時、
質点が至近を通過した場合の計量は、
のとき
の時
という大きさにだいたいなると考えられます。
ちなみに北極点のシュバルツシルト解による計量は
だいたい以下の大きさとなります。
圧倒的に巨大です。(とは言っても測量上は無視できるサイズですね)
せめて図の装置周辺の時空がこれぐらいゆがんでないと作業物質の資格はないでしょう。
余談ながら、「これが地球上の時空の構造だ」といわれてもなんかピンときませんね。
3.計算方法
今回、上記の結果を算出しした方法を示しておきます。
ここに示した計算方法は、
「一般相対性理論」(内山龍雄著 裳華房)第6章をかなり参考にしています。
これはご存じアインシュタイン方程式です。
(1)
計量の線形近似を次の形におきます。
(2)
ここで
という量を導入します。
は平坦な時空の計量です。
(3)
方程式 (1)は(3)式を用いて 以下のように書き直せます。
(4)
(4)式の解は電磁気学でよく知られており 次の形で書けるそうです。
(5)
N個の質点のエネルギー運動量テンソルは以下の形で書けます。
(6)
(
=1,2,...N)
は
番目の質点の質量です,
は質点
の位置です。
さらに(6)式中で以下の式を用いています。
(7)
はディラックのデルタ関数です。.
は (6)式や (7)式を用いて以下のように書けます。
(i,k=1,2,3).
(8)
は以下の通りです。
(9)
かくして我々は弱い重力場なら( まあ、重力波ですが ) 式 (2)(3)(8)から計算できるわけです。
慣性力偏差推進システムから放出される重力波
次に上図のシステムから放出される重量波を計算します。
図中のP1の軌道は
下記のようにも書けます。
(10)
式(10) と.(2)(3)(8).から重力波の式が求まりますが、
かなりぐっちゃぐっちゃな式でスペースの無駄なのでここには書きません。
数値を代入した結果は冒頭に示した通りです。